BCR・BCPは、いずれも鉄骨造の柱材として使われる建築構造用冷間成形角形鋼管です。一般社団法人 日本鉄鋼連盟によって、SN材に相当する柱材として規格化され、国土交通大臣の認定品となっています。製造方法の違いによってBCRとBCPの2種類の規格があり、今回はこの違いを中心に解説します。
BCRは「冷間ロール成形角形鋼管」の規格名。Box Column(ボックスコラム/角形鋼管)の「BC」と、製造方法のRoll成形を表わす「R」を組み合わせたものです。下図のようにコイルと呼ばれる鋼材を引き伸ばしながら製造。連続的に曲げ加工を行いながら電気抵抗溶接を行い、丸形に成形し、そののちに角形に成形します。
BCRの製造工程
BCPは「冷間プレス成形角形鋼管」の規格名。Box Column(ボックスコラム/角形鋼管)の「BC」と、製造方法のPress成形を表わす「P」を組み合わせたものです。鋼板をプレス成形し、半自動・全自動アーク溶接して製造。BCPの辺部は冷間加工を受けていないため、母材からほとんど変化せず、機械的性質についてSN材と同一です。
BCPの製造工程
ナカジマ鋼管では、BCRは□250〜550mm、板厚は9〜22mmまで対応。BCPは、ラインナップが豊富で□400〜1000mm、板厚は16〜50mmまでの大型サイズに対応しています。
また、ナカジマ鋼管では耐震性に優れた熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム(SHC)」を製造。同一のサイズもしくは耐力・降伏点の場合、上位互換規格であるSHCを選択すると様々なメリットが生まれます(詳細は後述いたします)。
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大型サイズまで対応するBCP
BCRとBCPは、いずれも日本鉄鋼連盟によって化学成分の規定項目が定められ、溶接性能や靭性をSN材と同等に確保されています。ただし、BCRとBCPは下記の内容でそれぞれに違いがあり、最適な製品を選ぶ必要があります。
・角部の曲率半径(BCRは2.5±0.5t、BCPは3.5±0.5t)
・化学成分
・材料強度や伸び(機械的性質)
BCRは、生産性やコストに優れているのが特長です。ナカジマ鋼管では見込み生産を行うため、納期のご要望にお応えしやすいのがメリットといえます。
大型の角形鋼管を使用することで、柱間のスパンが広い建物を造ることができます。また、サイズだけでなく、さらに高性能な製品もそろい、ラインナップが豊富。冷間成形角形鋼管に課せられた設計制限を外すことができる高靱性コラム「NBCP325EX」や、板厚50mmまで対応する高強度550N/mm²級の高性能冷間プレス成形角形鋼管「Nカラム NBCP385B/C」などもあります。
見込み生産を行い、生産性やコストに優れているBCR
併用は可能です。一般的な選択方法として、BCRのサイズ・板厚・強度で設計が可能であればBCRを選択。BCPのサイズ・板厚・強度が必要な場合でも、BCRが使える領域を探し、併用を検討されることがあります。ナカジマ鋼管ではBCR・BCPのどちらも製造し、さらに切断開先まで一貫して対応いたします。
ナカジマ鋼管は鋼管製造から切断開先加工まで一括対応
用途は主に5階以下の中小規模の建築物。導入事例として、1階が駐車場で2階以上が店舗や住居となっている建築物、ショッピングセンター、立体駐車場などが挙げられます。
用途は主に5階より高い大規模建築物。導入事例として、公共施設、オフィスビル、空港、病院、ビジネスホテル、大型商業施設などが挙げられます。
ナカジマ鋼管製品の導入事例(グランフロント大阪 TOWER A)
ナカジマ鋼管では、BCR・BCPの上位互換規格となるスーパーホットコラム(SHC)を製造しています。SHCは、冷間成形角形鋼管の設計・施工マニュアルに従うことなく設計でき、BCR・BCPと比べて高品質な建物を経済的に設計することが可能になります。
加熱・均熱後に成形するSHCは、鉄本来の粘り強さと高い強度を持つ理想的な建築鋼材です。塑性変形能力に富んだ靭性が特徴的で、残留応力が除去され、高い座屈強度を持ち、溶接性も優れています。
●設計上のハンディがありません
柱の応力割増しあるいは耐力低減による設計を行う必要がありません。
●構造計算が容易で、確認申請がスムーズ
ルート1・2で構造計算することで経済的かつスピーディな設計が可能です。
●断面性能に優れています
コーナーRは「R=2.0t」で、断面性能が向上して経済設計が可能です。
●一般的な構造計算プログラムに対応
ユニオンシステム、構造システム、構造ソフト、NTTデータ、東京デンコーの一貫構造計算プログラムに組み込まれています。
ナカジマ鋼管オリジナルの熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム(SHC)」
たとえば、BCP325とSHC490は耐力及び降伏点が同値のため、置き換えが比較的容易です。10mを超えるスパンを有する中高層のビルにおいて、スーパーホットコラム(SHC)に置き換えることで、柱断面が小さくなり柱重量や溶接量を減らすことができます。さらに、耐火被覆面積・仕上げ面積も削減可能。建築デザイン上のメリットを生み出し、効率的なコストダウンを図ることもできます。