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家具から大規模建築物まで幅広く使われる「角形鋼管」

2020.12.25

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角形鋼管とは?

角形鋼管は文字通り、断面の形状が四角形の鋼管です。断面のサイズは幅広く、小さいものは家具の部材として、大きいものは大規模建築物の柱材として使われ、角形鋼管の用途は実に様々。サイズごとに小径・中径・大径の3つに分類でき、小さいサイズは「パイプ」、大きいサイズで特に建築用に使われるものは「コラム」と呼ばれています。ナカジマ鋼管は、角形鋼管の中でも「コラム」の開発・製造に特化した企業です。

ナカジマ鋼管が製造する角形鋼管
 

角形鋼管の規格や用途

机の脚にも使われる「小径角形鋼管」

各メーカーがJIS規格である丸管のSTKM(JIS G 3455)を角形に成形し、独自規格で販売。製品名はSTKMRと表記され、一般的には「スモール角」や「スモール角パイプ」と呼ばれています。家具、意匠材、機械用部品などとして使われています。

機械の構造用などに使われる「中径角形鋼管」

主にJIS規格のSTKR(JIS G 3466)が使われています。「一般構造用角形鋼管」と表記され、「中径角」「中径角パイプ」と呼ばれることも。用途は、小規模な建築物や機械の構造用、立体駐車場、仮設資材などがあげられます。

中規模・大規模の建築物の柱となる「大径角形鋼管」

日本鉄鋼連盟が製品規定するBCRやBCPなどがあります。表記は「建築構造用角形鋼管」。一般的には「大径角形鋼管」や「コラム」と呼ばれ、中規模・大規模の建築構造物の柱材に使われています。また、一部でSTKRなどが採用されるケースもあります。ナカジマ鋼管では国内で唯一、大径の熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム(SHC)」を製造。STKR・BCR・BCP・SHCと幅広いラインナップを用意しています。

ナカジマ鋼管の熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム(SHC)」
 

角形鋼管の製造方法

小径角形鋼管(STKMR)

STKMRは、一般的に冷延コイルを使用。STKM(JIS G 3445) の規格に準じた丸管を製造したのち、角形鋼管に成形します。

中径角形鋼管(STKR)

JIS規格であるSTKRはホットコイルを用い、ロール成形によって製造されます。JIS G 3466では、角形鋼管について以下のように定義されています。

溶接鋼管(電気抵抗溶接,鍛接又は自動アーク溶接による。)又は継目無鋼管を角形に成形して製造するか、又は鋼帯を角形断面若しくは一対の溝形断面に成形し、連続的に電気抵抗溶接又は自動アーク溶接によって製造する。

ロール成形は、下図のようにコイルと呼ばれるトイレットペーパーのような形をした鋼材を引き伸ばしながら製造する方法です。連続的に曲げ加工を行いながら電気抵抗溶接を行い、丸形に成形し、そののちに角形に成形します。

ナカジマ鋼管のロール成形(BCR)の製造工程
 

大径角形鋼管(BCR・BCP・SHC)

BCRはコイル(鋼帯)を前述のロール成形で、BCPは鋼板をプレス成形で製造。BCR・BCPは、STKRよりも高性能な冷間成形角形鋼管として、日本鉄鋼連盟によって規格化されています。また、ナカジマ鋼管オリジナルのSHCは、ロール成形もしくはプレス成形の後に熱間成形加工を施すことで、高い耐震性を発揮します。

▶建築用コラム(大径角形鋼管)の記事はこちら

ナカジマ鋼管のプレス成形(BCP)の製造工程
 

角形鋼管の選び方

まずは用途に合わせて

まずはおおまかに、前述の小径・中径・大径のなかで用途に合ったものを選択。STKRより小さいサイズならSTKMR、主に建築で用いるならBCR・BCP・SHCといった選び方です。また、建築物で使用する鋼管のうち、「STKRとBCR」、「BCR・BCPとSHC」は置き換えが可能です。

上位互換規格を選ぶメリット

STKR400とBCR295の場合、BCR295が上位互換規格となります。また、BCR・BCPに対してSHCが上位互換規格に。それぞれ上位互換規格を採用することで、計算ルートが変わり、建物の鉄骨重量を減らすことができるなど、さまざまなメリットが生まれます。

▶詳しくはこちら

コラム〜角形鋼管の豆知識〜

なぜ断面の形状は角形?

鋼管を円形のままではなく、角形に成形するには理由があります。まずは保管のしやすさ。円形よりも角形のほうが固定しやすく、縦にも積みやすいのがメリット。また、角形のほうが丸形よりも同じスペース・同じ板厚の場合、断面性能が高いといえます。梁や壁との相性も良く、そのため、建築の柱の主流は角形鋼管が担っていると考えられます。

円形鋼管を使ったノンダイアフラム構法

一方で、外からかかる力に対する能力が均一になるのが円形鋼管の利点。こうしたメリットとSHCの優れた製品特性を生かし、ナカジマ鋼管は2018年に円形鋼管柱を用いたノンダイアフラム構法を、東京大学鋼構造研究室の桑村仁名誉教授と共同開発(一般評定- CBL SS005-17)。従来の通しダイアフラムプレートを取り付けた場合と比べ、溶接量の大幅削減と加工・製作・検査工程の大幅短縮が可能となりました。

円形鋼管柱を用いたノンダイアフラム構法
 

NSPは大径角形鋼管の量産化に業界で初めて成功

建築構造用鋼管のエンジニアリングカンパニーとして、鋼管の研究・開発・製造に取り組んでいるナカジマ鋼管。1978年には、鉄骨造の柱材として主流を担う大径角形鋼管の量産化に、業界で初めて成功しました。以来、世界最大級の電縫鋼管製造設備を設置したり、大型の熱間成形鋼管の開発に国内で初めて成功するなど、柱材の大径化・高品質化といったニーズにあわせた製品を生み出し続けています。

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