Nカラム BCR295

ナカジマ鋼管では、鋼帯(コイル)から電気抵抗溶接によって製造される溶接鋼管を連続的に角形断面に成形し、冷間成形角形鋼管「Nカラム BCR295」を製造しています。(認定番号:MSTL-0509)

 

BCR295とは?

日本鉄鋼連盟が製品規定するBCR295

BCR295は、一般社団法人 日本鉄鋼連盟の製品規定に基づいて製造する「建築構造用冷間ロール成形角形鋼管」です。「BCR」は、Box Column(ボックスコラム/角形鋼管)の「BC」と、製造方法のRoll成形を表わす「R」を組み合わせたもの。295は降伏点の下限値を示しています。

BCR295はSN材に相当する冷間成形角形鋼管のひとつ

日本鉄鋼連盟製品規定の建築構造用冷間成形角形鋼管は、ロール成形のBCRとプレス成形のBCPがあります。BCRもBCPもSN材に相当する建築構造用として規格化され、国土交通大臣の認定品となっています。また、日本鉄鋼連盟が規定するBCRは、BCR295の1種類のみです。

BCR295の規格

BCR295とSTKR400/490の違い

BCR295とSTKR400/490はともにロール成形で製造しますが、規格が異なります。STKR400/490は、JIS規格に基づき製造。日本鉄鋼連盟が規定するBCR295はSTKR400/490と比べて、C、P、Sの上限値が厳しく、STKRには規定のないMn、Si、Nの上限値も規定。これら化学成分の規定項目が多いBCR295は、溶接性能や靭性をSN材と同等に確保しています。また、BCR材はSTKR材よりも大きな変形性能を発揮。BCR295はSTKR400/490と比べて地震に強い柱材といえます。

BCRが規格化された背景

なぜ、BCR295はSTKR400/490と比べて地震に強いといえるのか。鉄骨造建築物の柱材の歴史を振り返ると、わかりやすくなります。かつて、鉄骨ラーメン構造の柱材は「日の字H」が主流でした。1970年代後半には中小鉄骨を対象にしたロールコラム(STKR)が登場し、普及が進みます。しかし、1981年に改正された建築基準法(新耐震設計法)で、部材の耐力を発揮させるには細部にわたる靭性(粘り強さ)の確保を規定。そのため、平坦部も塑性加工の影響を受けるロールコラム(STKR)よりも、さらに高品質な規格の製品が求められるようになりました。これを受け、1994年に(社)鋼材倶楽部(現:日本鉄鋼連盟)がBCR295、BCP235、BCP325を制定。STKRよりも高性能な冷間成形角形鋼管として規格化されたのです。

BCR295の特長

大型サイズへの対応と優れた生産性

BCR295の特長として大型サイズへの対応があげられます。ナカジマ鋼管では、辺長550mm×550mm・板厚22mmまで製造可能。また、見込み生産を行うため、納期のご要望にお応えしやすいのもBCR295の利点です。

建物の鉄骨重量を削減できる

BCR295は、STKR400を使用するのに比べて、ルート3(保有水平耐力計算)の設計を用いることで、建物の鉄骨重量を減らすことが可能です。

▶ルート3(保有水平耐力計算)の解説はこちら

 

ナカジマ鋼管のBCR295

建築構造用鋼管のリーディングカンパニー

ナカジマ鋼管は、国内で初めてロール成形(電縫管)による大径角形鋼管を製造。その技術を研磨し、高品質な製品の生産体制・設備を構築。大型の角形電縫管の先発メーカーとして確かな品質のBCR295をお届けしています。

BCPとSHCをトータルコーディネート

ナカジマ鋼管は、BCR295に加え、冷間プレス成形角形鋼管「BCP」や熱間成形角形鋼管「スーパーホットコラム(SHC)」も製造する国内唯一のメーカーです。BCR295に加え、BCPやSHCを採用することで、さまざまなメリットが生まれます。

例えば、10mを超えるスパンを有する中高層のビルにおいて、スーパーホットコラムを使用すれば、柱断面が小さくなり柱重量・溶接量を低減。さらに耐火被覆面積・仕上げ面積を削減でき、建築デザイン上のメリットが得られ、効果的なコストダウンも図れます。そのため、お問い合わせやご相談内容によってBCPやSHCも含めた、総合的かつ最適なご提案を行っています。

 
▶スーパーホットコラムの詳細はこちら
▶スーパーホットコラムとの鉄骨重量比較の解説はこちら

 

Nカラム BCR295製品規格

1.機械的性質

製品記号 引張試験 衝撃試験 [4号長さ方向]
板厚
(mm)
降伏点または
耐力(N/mm²)
引張強さ
(N/mm²)
降伏比
(%)
伸び [5号]
(%)
試験温度
(℃)
シャルピー
吸収エネルギー(J)
BCR295 9≦t<12 295≦ 400≦
≦550
23≦ 0
12≦t≦16 295≦
≦445
≦90 27≦
16<t≦22 27≦

 

1. 引張試験片は、溶接部分を含まない辺の中央部分から管軸方向に採取します。
2. 衝撃試験片は、溶接部分を含まない辺の中央部から、試験片の中心が外表面から厚さの1/4となるように管軸方向に採取します。ただし、試験片の中心が外表面から厚さの1/4となるように採取できない場合は、なるべくこれに近い位置から採取します。切り込みは、厚さの方向に入れます。
材料の都合によって標準寸法(10mm正方形断面)が採取できない場合、幅が7.5mmのサブサイズを使用します。

2.化学成分

製品記号 C Si Mn P S トータルN 炭素当量 溶接割れ
感受性組成
BCR295 ≦0.20 ≦0.35 ≦1.40 ≦0.030 ≦0.015 ≦0.006 ≦0.36 ≦0.26

 

1. 必要に応じて、上記以外の合金元素を添加することができます。
2. Al等Nを固定化する元素を添加し、フリーNが0.006%以下であれば、トータルNは0.009%まで含有できます。
3. 炭素当量の計算は溶鋼分析値を用い、次の式によります。炭素当量 Ceq(%)=C+Mn/6+Si/24+Ni/40+Cr/5+Mo/4+V/14
4. 受渡当事者間の協定により、炭素当量の代わりに溶接割れ感受性組成を適用することができます。この場合、溶接割れ感受性組成の計算は溶鋼分析値を用い、次の式によります。 溶接割れ感受性組成 Pcm(%)=C+Si/30+Mn/20+Cu/20+Ni/60+Cr/20+Mo/15+V/10+5B

3.製造サイズ

辺長\板厚 9 12 16 19 22
250×250
300×300
350×350
400×400
450×450
500×500
550×550

 

 

 

Other Lineup
建築構造用冷間ロール成形角形鋼管